気球が空を埋め尽くす「アルバカーキ国際バルーンフェスタ」
- 2017.10.11
- ニューメキシコ/ New Mexico
アメリカのニューメキシコ州に位置するアルバカーキという町では、毎年10月にインターナショナル・バルーン・フェスタが開催される。数えきれないほどの気球が一斉に空に上がる様子を見るために、多くの観光客が訪れる世界最大級の気球フェスティバル。これを見れば、一生に一度は訪れたくなるはず!
特殊な気流が生まれるアルバカーキの町
アルバカーキはニューメキシコ州でもっとも大きい都市。85万世帯以上が暮らし、スペインの植民地であったなごりやネイティブ・アメリカンであるプエブロ族の集落など、文化的多様性が見られるのが特徴だ。
海抜約1500メートルに位置する平野は山々に囲まれ、秋になると昼間の穏やかな気候に程よい風が生まれる。また、この地域では「アルバカーキ・ボックス」と呼ばれるボックス状に流れる気流が発生しており、気球を飛ばすのにこれほど理想的な条件が揃う場所はないとされている。空の青さが一層深まる秋の季節にはカラフルな気球の色彩が映え、まさに気球日和。
バルーンフェスタが始まったのは1972年。ショッピングモールの駐車場でわずか13個の気球を飛ばした小さなイベントは、その後徐々に規模を拡大していき、今では屈指のフォトジェニックなフェスティバルとして世界中に知られるようになった。
気球が一斉に浮き上がる様子は絶景
期間は9日間で、午前の部、午後の部と1日2回に分けて開催される。会場となるバルーン・フェスタ・パークは約365エーカーあり、フットボール場54個分ほどのスペースで、500以上の気球が上げられるのだ。
午前の部は夜明け前からスタートする。まだ暗い朝5時過ぎに会場へ向かうと、早朝とは思えない数の車が駐車場待ちのために5キロほどずらりと並ぶ。無事に駐車し、会場へ。暗闇の中、凍てつくような寒さにもかかわらず会場は多くの人で溢れ、一眼レフを手にポジション探しをする人や温かい飲み物を持って気球が打ち上がるのを待ちわびる人などで賑わう。
5時45分になると、第1弾の気球陣が徐々に膨らみ始める。あちこちで気球に空気を入れる巨大な扇風機の音や、ゴォーッとバーナーを燃やす音が響く。1日の最初のイベント、Dawn Patrol Showの始まりだ。
横倒しになった気球に十分な空気が入り、バルーンが空へ向かって立ち上がると、周りからは大きな歓声。パイロットがバーナーを燃やすと暗闇の中でカラフルな気球がぽうっと浮かび上がり、とても幻想的だ。
十分な空気を送り込んで準備ができた気球はゆっくり空へ飛び立ち、周りに集まっていた観客からは歓声と拍手が上がる。Dawn Patrol Showで上がる気球は10機ほど。一つ、また一つと気球が飛び立つと、空にはランプが点々と浮かんでいるようなロマンチックな光景が広がる。
空が明るくなってきた6時半頃、会場の辺り一面に次々と気球が膨らみ始め、視界はあっという間に数えきれないほどの気球でいっぱいに。そして日の出とともにすべての気球が一斉に上がるMass Ascensionは、本イベントのハイライトだ。上空がカラフルな気球で埋め尽くされるさまは圧巻で、ここでしか見ることができない貴重な瞬間といえるだろう。
ミュージックフェスやフードコーナー、おみやげも
すべての気球が飛び立つと、会場では気球パイロットの操縦の正確さを競うコンペティションやミュージックフェスタなど、さまざまな催しが行なわれる。また、フードコーナーやネイティブ・アメリカンであるプエブロ族の民芸品店、南米の手作り雑貨店などの出店も並び、大賑わい。バルーンフェスタ公認のピンバッチも販売されるので、記念に買ってみては。
午後の部では、日の入り後に行なわれる地上に並んだ無数の気球をバーナーでランプのようにライトアップするBalloon Glowsが見どころだ。空を泳ぐ気球の絶景とはひと味違った美しい光景を見られるので、午後の部もぜひ参加してほしい。
このフェスティバルで常連客に人気なのが、Special Shape Rodeoと呼ばれる気球。ウシやペンギンといった動物をはじめ、ダースベイダーなどのキャラクターやバイクといったものまで、さまざまな形の気球が登場する。なかにはとてつもなく巨大な気球もあり、観客を多いに楽しませてくれる。
訪れる人々に感動と夢のようなひとときを与えてくれるアルバカーキ・インターナショナル・バルーンフェスタ。一生に一度は訪れたい、世界屈指のイベントだ。
開催時期/毎年10月の9日間
開催場所/Balloon Fiesta Park (5000 Balloon Fiesta Pkwy NE, Albuquerque, NM 87113)
オフィシャルサイト/http://www.balloonfiesta.com
旅行雑誌、情報誌のフリー編集者兼ライター・フォトグラファー。人種や文化の違いに興味があり、世界中の国々を旅行しては、その地で見た美しい風景や人々、おもしろいと感じたものを写真に収める。世界遺産検定1級所持。
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