まるでボリビア! アメリカの美しい塩湖、ボンネビル・ソルトフラッツ

まるでボリビア! アメリカの美しい塩湖、ボンネビル・ソルトフラッツ

塩湖といえば、日本人に大人気なのが南米のボリビアにあるウユニ塩湖。一面が湖と化す雨期には青い空が湖一面に映り、空と大地の境界線が分からないくらい美しい光景が広がることで知られている。

このような塩湖が、実はアメリカ国内にも存在するのをご存知だろうか。それが、ユタ州の北部に位置する塩の平原、ボンネビル・ソルトフラッツ(Bonneville Salt Flats)だ。自然が生み出したものとしては、ユタ州でもっともユニークな地形のひとつ。日本人をはじめ海外の人々にはまだあまり知られていない、この塩の平原の魅力を紹介する。

 


 
ユタの州都ソルトレイクシティからI-80で西へ車を運転すると、視界の左右には突如として真っ白な平原が現れる。一見、雪原のように見えるこの場所こそ、潮の平原「ボンネビル・ソルトフラッツ」だ。乾燥した気候のため、1年のうち大半は水が蒸発した砂漠のような状態になっているが、雨季には一面に水が張り、晴れた日には空全体が地面に落ちてきたかのような美しい塩湖へと変貌する。

広さはおよそ120平方キロ。見渡す限り一面に広がる塩の平原は、真っ白な雪の絨毯のようだ。乾燥で徐々に水が蒸発することでできあがった塩の結晶は、塩田に波紋のような模様を形作る。この美しい模様が延々と先まで広がる様子は、まるで異世界へ迷い込んだかのような不思議な光景。

この地を訪れたのは9月初旬。カラッと晴れた日で、空を見上げればパラグライダーで上空からの景色を楽しむ観光客もちらほら。ソルトフラッツは車で敷地内に入り、そのまま塩田の上を走り回ることができる。エントランスからしばらく奥へと走っていくと、周りには車の騒音や人の声、生き物の気配が一切なくなる。しばらくの時間、白一色となった世界に自分一人きりになったような奇妙な感覚を味わおう。

平原のど真ん中で車を停め、塩の絨毯へと一歩踏み出すと、踏みしめた足の裏からは塩の粒が摩擦でキシ、キシと擦れる音が鳴る。塩の結晶を少しつまんで舐めるとしょっぱいので、これが本当に塩だということが分かるだろう。

 

Advertisement

 
ここははるか昔、ボンネビル湖と呼ばれる広大な湖だった。時が経つにつれて水が蒸発し、あとには膨大な塩の結晶が残ったという。現在、ソルトレイクシティの西側に隣接するグレート・ソルト湖は、蒸発せずに残ったボンネビル湖の一部だそうだ。ソルトフラッツは動植物が育つエリアと、土壌の塩分濃度が高すぎて動植物が生息できないエリアが混在した、とても不思議な場所。

11月から翌5月までの間は雨季とされており、雨が降ると一面が水に覆われた塩湖となる。風のない日には空が水面にくっきりと映し出され、上下左右の感覚が分からなくなるほど。日の出や日の入りの時間帯に訪れれば一面がピンク色に染まり、一層幻想的な風景が見られるだろう。

毎年8月にはスピードを競うカーレース「ボンネビル・スピードウェイ」が塩田の上で開催され、多くのレーサーや観客で賑わう。また、特異な地形から『インディペンデンス・デイ』『パイレーツ・オブ・カリビアン』など、さまざまな映画のロケ地としても使われている。

あまり観光地化されていないため、のんびりと絶景を独り占めできるボンネビル・ソルト・フラッツ。日常から離れて、異質な経験をしに出かけてみては。

 

Bonneville Salt Flats
ソルトレイクシティからI-80で190キロ(約1時間半)西へ進み、出口4を降りてすぐ。