岩の柱が立ち並ぶ「ブライスキャニオン国立公園」の楽しみ方
- 2017.09.24
- ユタ/Utah
ユタ州の南に位置する「ブライスキャニオン国立公園」は、無数に広がる赤い岩の柱が眼下に広がる絶景。日の出から日の入りまでの太陽の動きとともにその様相を刻々と変えていき、私たちに異なる景色を見せ続けてくれる。
ブライスキャニオンで見られる奇岩はピンク・クリフといわれる層からできたものだ。この層は、グランド・ステアケース(Grand Staircase)といわれる、グランドキャニオンを含む一連の地層のなかでも新しい部分とされている。
ブライスキャニオンの特徴は、「フードゥー(Hoodoo)」と呼ばれる尖塔のような形の岩の群れ。細長い塔がいくつも連なったような造形は、人々に不思議な印象を与える。Hoodooはもともと、フィン(fin)と呼ばれる細い壁のような形状の岩だ。1年のうち200日ほどの間に凍結と雪解けを繰り返すサイクルと酸性雨による影響で岩が浸食され、このような尖塔群ができあがった。
国立公園のエントランスから1番奥までは、ドライブウェイで約30キロ。道のりには10以上のビューポイントがあり、車はもちろん、園内を走る無料のシャトルバスでも各ポイントをめぐることができる。また、ハイキングコースは初級から上級まで15コースほどあり、乗馬で回れるコースも。目的や費やせる時間に合わせてめぐるコースを考えよう。
数ある見どころのなかから、ぜひ訪れてほしいビューポイントやハイキングコースをいくつか紹介する。
サンライズ・ポイント、サンセット・ポイント
ブライスキャニオンに行くなら、日の出の時間か日の入りの時間に合わせて訪れたい。園内にはサンライズ・ポイントとサンセット・ポイントというビュースポットがあり、それぞれのスポットでは朝日または夕日に照らされて真っ赤に染まる峡谷の絶景が見られる。日中の景色とは異なり、限られた時間帯にしか見られない光景は格別。
インスピレーション・ポイント
Hoodooがよく見えるポイント。眼前に無数の石柱が広がる様子は圧巻だ。この別世界のようななんとも言えない不思議な景色は、ドワーフの世界に入り込んでしまったかのよう。ここには高さの異なるビューポイントが3つある。1番標高の高いポイントからは全体を見渡すことができるので、すべてのポイントから景色の違いを楽しもう。
ブライス・ポイント
ここもHoodooがきれいに見えるポイント。せり出した断崖からは円形に広がる自然の造形美をよく見渡せる。眼下に目を凝らして見ると、ハイキングコースを歩く米粒のような人々が見えるはず。ここを拠点とするハイキングコースはピーカブー・ループ(Peekaboo Loop)といわれ、8.8キロ、4〜5時間のコース。岩の造形を下から見上げることができ、違った角度で奇岩群の眺めを楽しむことができる。時間に余裕があれば挑戦してみよう。
レインボー・ポイント
ドライブウェイの1番奥にあるビューポイント。標高約2750メートルで、公園内でもかなり高い位置だ。峡谷のずっと先まで見渡すことができ、赤い石柱と緑の木々のコントラストが美しい。
ここから出発する1.6キロ、約1時間のハイキングコースでは、松の木々が林立する森や広大な眺めを堪能しながら初心者でも気軽にハイキングができ、景色の移り変わりを楽しめる。
ナバホ・ループ
サンライズ・ポイントを拠点に2.2キロを1〜2時間で歩く、中級者向けのハイキングコース。行程にはトールズ・ハンマー(Thor’s Hammer)という微妙なバランスで積み上がったように見える岩や、浸食によって岩の間にできた2つの橋、トゥー・ブリッジ(Two Bridge)などの見どころがある。
なんといっても、空に向かって高々とそびえる石柱の間を歩けるのがこのコースの魅力。狭くて深い谷間に陽光が注いでできた岩間の光と影は、幻想的な雰囲気を醸し出す。谷底から空へ伸びるモミの木も必見だ。
ブライスキャニオンでは、角の生えたシカのような姿のプロングホーンや、マウンテンライオン、プレイリードッグ、リス、ガラガラヘビなど、さまざまな生き物が共存している。よく周囲に目を配っていれば、ハイキングで出会えるかもしれない。
UT-12からUT-63を南へ車で約4マイル。
旅行雑誌、情報誌のフリー編集者兼ライター・フォトグラファー。人種や文化の違いに興味があり、世界中の国々を旅行しては、その地で見た美しい風景や人々、おもしろいと感じたものを写真に収める。世界遺産検定1級所持。
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