アメリカ建国の聖地、フィラデルフィアの独立記念館
- 2021.01.02
- ペンシルベニア/Pennsylvania
1776年7月4日、アメリカ合衆国が誕生した。その原点となる場所が、ペンシルベニア州フィラデルフィア市にある。
独立記念館「Independence Hall」だ。
大航海時代にアメリカ大陸が発見されると、イギリスからは大勢の移民がこの地へと押しかけた。そして独立戦争さなかの17世紀、イギリスの専制に立ち向かい、自由と平等を掲げる国を実現するために、まさにこの建物の中でアメリカ独立宣言がなされた。
当時、この建物はペンシルベニア州議事堂だった。のちに第3代アメリカ合衆国大統領となるトマス・ジェファソンをはじめとする数名が、ここで独立宣言案を起草。草案は3日間討議されたという。その後、植民地下の13州の代表者が集い独立宣言書に署名。全会一致で採択された。1787年には、この同じ場所でアメリカ合衆国憲法が制定された。
個人の尊厳や人間の平等・自由などを謳った独立宣言の内容は、アメリカはもちろん、人類史上もっとも重要な宣言となった。この歴史なくして今日のアメリカは存在しないだろう。重要な役割を成し遂げた州議事堂は、いつしか独立記念館と呼ばれるようになったのだという。
この歴史的な出来事を今に伝える独立記念館は、1979年には世界文化遺産に登録された。
絶対見ておきたい歴史的スポット
独立記念館を中心として周辺はインディペンデンス国立歴史公園に指定されており、歴史的建築物や記念物が点在している。まずはビジターセンターで、展示やビデオ上映などを通してアメリカ建国の歴史を学ぼう。独立記念館のチケット(無料)とマップを入手したら、さっそく歴史的スポットめぐりへ。独立記念館はビジターセンターのすぐそばに位置している。1749年に造られた建物は赤レンガ造りの2階建て。ドーム型の尖塔を中心に左右対称に設計されており、18世紀のイギリス建築の典型的な造りとなっている。20〜30分おきに実施されるガイドツアーに参加すれば、内部を見学することができる。独立宣言とアメリカ合衆国憲法が成立したAssembly Roomは必見。
独立記念館のそばに建つリバティ・ベル・センターでは、独立宣言ゆかりの鐘が保存・展示されている。民衆の前で独立宣言文が読み上げられた時、イギリスからの独立を祝ってこの鐘が高らかに打ち鳴らされたと伝わっている。アメリカ国民の自由のシンボルとして、「リバティ・ベル(自由の鐘)」と呼ばれているのだそうだ。鐘には聖書の1節「地上に住むものすべてに、自由を宣言せよ」が刻まれているので、よく見てみて。
フィラデルフィアが1790年から10年間、新生国家の首都の役割を果たした当時のアメリカ合衆国議会議事堂も公園内に残っている。そのほか、ジョージ・ワシントンやジョン・アダムスが大統領時代に暮らした邸宅跡や、独立宣言起草者の一人であるベンジャミン・フランクリンのゆかりのスポットが集まったエリアなど、見どころはたくさん。歴史公園内の史跡をすべて回れば、アメリカの原点が見えてくるはず。
独立宣言書の基盤となる「すべての人間は平等であり、生命、自由および幸福の追求の権利を与えられている」という考え方は、のちのフランス人権宣言や日本国憲法13条にも影響を与えている。そういった意味で、ここは日本人にとっても特別な場所といえるだろう。
ニューヨークからもほど近いフィラデルフィア。建国の聖地に立てば、アメリカという国の偉大さと尊さを肌で実感するだろう。
写真提供:NPS Photo
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旅行雑誌、情報誌のフリー編集者兼ライター・フォトグラファー。人種や文化の違いに興味があり、世界中の国々を旅行しては、その地で見た美しい風景や人々、おもしろいと感じたものを写真に収める。世界遺産検定1級所持。
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