最近、トランプ大統領を見直している件について

最近、トランプ大統領を見直している件について

生活を営むために就労ビザを発行してもらい、ロサンゼルスの片隅に住居を構えて大変お世話になっているアメリカだが、トランプ大統領だけはずっと嫌いだった。何かと軽率な発言をしてはトラブルを巻き起こしてばかりのトランプ氏に不快な思いを抱いていたし、移民排除を前面に押し出してくる感じも好きになれなかったのだ。

ところが最近、COVID-19のパンデミックが広がってからのトランプ氏を見ていて考え方が変わってきた。ずっと無条件で嫌っていたが、意外といいやつなのではないか!という気持ちが芽生え、むしろ好きになりつつある。この気持ちの変化に自分自身ではっきりと気づいたのは、コロナウィルスによる財政悪化の支援策として、トランプが一人1200ドル支給すると発表したあたりだ。なんとも現金な話だが、そうなのである。

コロナウィルス問題が発生してからというもの、州知事や大統領たちはほぼ毎日会見を開いている。私も常に最新情報を逃すまいと、会見が開かれるたびに欠かさずライブ映像を見ている。そんななか、私の心に少しずつ変化が現れた。

アメリカはとにかく行動が俊敏だ。事態に臨機応変に対応し、瞬時に対策を打ち立ててはスパッ、スパッと次々に実行していく。そのスピード感はさすがだと思う。日々、機敏に指示を出していくトランプを見ていると、なんだか安心感がある。その姿はいついかなる時も堂々としており、迷いがないのだ。

もちろん、攻撃的な発言や口から出まかせ的な軽率な発言は今も変わらない。諸外国に対しては厳しいし、移民嫌いなところも相変わらずだ。しかし、今回のコロナに対する一連の動きを見ていて、アメリカという国を守るという点に関しては信頼できる人なのではないかと思い始めた。

そこには政治的な戦略がないと言ったら嘘になるだろう。だが、コロナウィルス感染拡大を阻止するためなら手段を選ばないというその姿勢には、頼もしいものがある。リーマンショック以上の大不況が訪れると分かっていても、何よりも優先して感染を食い止めたいという強い意志が感じられる。国民への配慮が感じられるから、こちら側も安心して任せていられるのだ。

Advertisement

最近、それとは対極的に信用を失っているのが日本政府だ。アベノミクスのために非常事態宣言を散々渋り、いざ宣言を出したところで状況はあまり変わっていない。挙句、民間企業に休業要請をしつつも補償は拒否。現金支給もなんだかよく分からない条件を設け、受け取られる世帯はごく限られている。それなのに、国民1世帯につきマスク2枚を支給するという謎の対策に466億円かけ、まさに税金の無駄遣い。

安倍首相も麻生副総理もまったく当事者意識が感じられず、自分さえ安全なところにいられればそれで良いとしか思えない発言が目立つ。一体、国が補償しないのに誰が進んで店を閉めるというのか。何の見返りもないのに、みずから進んで無一文への道を進むようなものではないか。

国民が、各都道府県の知事が、どれだけ声高に訴えても、有効的な行動を一切取ろうとしない日本政府。国民を守ろうという意思が一切感じられない彼らには、ただただ呆れるしかない。

トランプは会見の時、いつも「我々は今こそ結束して戦う」「我々は日々強くなっている」「収束するのももうすぐだ」と国民を鼓舞し、最前線で戦う医療関連の人々への感謝の言葉を述べる。そしてこの機敏な対応の成果は自分が成し得たものである、とのアピールも忘れない。自分の偉業を強調してしまう姿はこどもみたいで笑ってしまう。だが、自分は国民と共にあるというメッセージが明確に感じられるトランプのほうが、日本政府より100倍も1000倍も良いと思う。

最近では、記者と余計な口論をしているトランプを見るのも楽しくなってきた。彼を陥れようと茶々を入れてくる記者に対して、「●●(某メディア)のニュースはみなフェイクだ」と言ってのけたり、「だからお前は●●(某メディア)を辞めさせられたんだ」と会見とはまったく関係のない喧嘩を始めたり。こういう裏表のない人柄も、人間味があってかわいらしい。何を考えているのか分からない日本政府と比べたら、よほど信頼感が芽生える。最初はこの攻撃的かつ過激な発言はどうかと思っていたが、米国人にウケる理由が少し分かってきた気がする。

ちょっと話はズレるが、記者会見を見ていて、周りの人々がみなトランプのことを「Mr. President」と呼ぶことに最近気づいた。どうやらこれは初代大統領の頃から決まっているらしく、敬意を表す呼び方のようだ。日本語でいうと、「大統領さん」のような感じだろうか。皆が「Mr. President!」と呼んでいるのもなんだかちょっとかわいらしく聞こえるので、ぜひ注目してもらいたい。