アメリカで結婚式に参加
- 2020.10.08
- Life -アメリカ生活 日々のぼやき-
結婚式というのは、その国の文化や宗教、習慣がよく反映されたもの。先日、私は初めてアメリカで結婚式に参列した。日本と同じような部分がありながらもまったく異なるマナーもある、そんなアメリカの結婚式での体験談をお伝えしよう。
ドレスコード
招待状に服装の規定が書いてある場合は、その規定に沿って服装を選ぼう。日本と同様に、花嫁が身に着ける純白のドレス、また黒いドレスを参列者が着るのは好ましくないとされている。特に指定がないのであれば、目立ちすぎないフォーマルなドレスであれば問題ないだろう。
お祝い
日本ではご祝儀を包んで参加するのがマナーだが、アメリカではこれといった決まりはない。お祝いの相場は50〜100ドルが一般的とされており、現金を渡す人もいれば品物を贈る人もいる。品物を贈る場合は、キッチン用品やベッド用品、家電など、普段の生活で使える家庭用品が無難だ。
贈り物がほかの人とかぶらないように、Wedding Registry(ウェディング・レジストリ)が用意されている場合もある。Wedding Registryとは、新郎新婦が欲しいものリストをあらかじめ作成して特定のデパートに登録したもので、参列者は登録されているデパートでリスト内のものを購入してプレゼントするという仕組み。すでに誰かが購入したギフトはリストから削除されていくので、ほかの人とはかぶらないようになっている。Wedding Registryがある場合は招待状に書かれていることが多く、最近はオンラインで購入できるようにURLが記載されていることもあるので便利。
Bachelor’s PartyとGirl’s Night
アメリカでは、結婚式の前に新郎側、新婦側がそれぞれ行うパーティがある。新郎が独身最後の夜を楽しむパーティがBachelor’s Party(バチェラーズ・パーティ)で、新郎の親しい男性の友人が集まりどんちゃん騒ぎを行うものだ。レストランやバー、ナイトクラブ、ストリップなど会場はさまざまで、結婚前の独身生活を最後まで楽しもうというもの。その女性版がGirl’s Night(ガールズ・ナイト)で、レストランやバー、ナイトクラブなどで新婦の女性の友人たちが集まり、独身最後の日を思う存分楽しむ。
結婚式での付添人
アメリカの結婚式では、新郎新婦のほかに重要な役割を担った付添人がいる。新婦のお世話をするのがBride’s Maid(ブライズ・メイド)と呼ばれる女性たちで、新郎新婦の姉妹や親しい友人から数人選ばれる。また、ブライズ・メイドの中でもリーダー的な存在の女性をMaid of Honor(メイド・オブ・オナー)と呼び、花嫁のブーケを持ったりベールやドレスを整えたりと、婚姻の証人として新婦をサポートする。
一方、新郎のお世話をするのがGroom’s Men(グルームズ・メン)と呼ばれる男性陣で、こちらも新郎新婦の兄弟や親しい友人が選ばれる。彼らは結婚式と披露宴でブライズ・メイドをエスコートする役割を担っている。特にリーダー格のBest Man(ベスト・マン)はバチェラーズ・パーティの仕切り、そして結婚式当日は婚姻証明書と指輪を運ぶ重要な役割を担っている。
そのほか、式場で花びらをまきながら花嫁の入場を促すFlower Girl(フラワー・ガール)には10歳までの女の子が、クッションに乗せた結婚指輪を運ぶRing Bearer(リング・ベアラー)には10歳までの男の子がそれぞれ任命される。
挙式、レセプション
式の内容は信仰している宗派によって異なるが、賛美歌の斉唱、誓いの言葉、指輪の交換、誓いのキス、という流れが一般的。式が終わったら参列者は教会の入り口に列を作って並び、新郎新婦が出てきたらお米や花びらなどをまいて祝福するという流れだ。
式が終わった後は、レセプション(披露宴)が開催される。場所は会場となるどこかの施設を押さえることもあるが、伝統的な方法は家の裏庭にテントを張って会場設営を行うもの。土地の広いアメリカだからこそ可能な方法といえるだろう。レセプションの流れは、新郎新婦およびブライズ・メイド、グルームズ・メンの入場、スピーチと乾杯、そして食事でしばし歓談。
日本とは異なるのが、この後にダンスタイムが設けられていることだ。会場の中央にはダンスフロアが設けられており、まず新郎新婦がファーストダンスを踊る。その後、新婦と父親、新郎と新婦の母親、新郎と母親、新婦と新郎の父親という順にダンスを踊り、その後は参列者が自由に踊れる時間となる。
その後、ケーキカットとファースト・フィード(新郎新婦がお互いに腕をクロスしてケーキを食べさせ合う)、ブーケトス(新婦が後ろを向いて投げたブーケを受け取った独身女性は次に花嫁になれるといわれている)、ガータートス(新婦が装着していたガーターを新郎が外して投げ、それを手にした独身男性が次に結婚できるといわれている)と続く。あとは、好きなように食べて飲んで踊って、深夜近くに会が終了となる。
参加した感想
日本と1番の違いを感じたのは、ダンスタイム。これから一生家族となる新郎新婦とその両親が踊る場面はなんとも心動かすシーンで感動した。花嫁とその家族は、私が中学2年生の時にホームステイしたホストファミリー。その後も連絡が途切れることがありつつも、学生時代に長期留学で再度渡米した際には久しぶりに再開するなど、なんだかんだで彼らとの縁は17年も続いていた。当時12歳の少女だったホストシスターの花嫁姿には、感慨深いものを感じずにはいられなかった。
親族のしっとりとしたダンスタイムが終わったあとは一転、参列者がダンスフロアに溢れかえり、今時のポップな曲のリズムに乗って踊りまくる。会場にはDJまで用意されており、もはやナイトクラブさながらの雰囲気だ。ダンスなんてできないしどうしよう……とちょっと不安だった私だが、上手い下手など関係なく踊りまくる人々に誘われて、途中からノリノリで踊ってしまった。
場所がオハイオ州の田舎町ということで、初対面の大勢のアメリカ人の中でアジア人一人が参加するのはちょっと不安もあったが、新郎新婦とその親族は皆さんとても優しかった。やはり結婚式という幸せな場に行けば、どこの国も間違いなく幸せオーラに満たされるのだな、と感じた。
旅行雑誌、情報誌のフリー編集者兼ライター・フォトグラファー。人種や文化の違いに興味があり、世界中の国々を旅行しては、その地で見た美しい風景や人々、おもしろいと感じたものを写真に収める。世界遺産検定1級所持。
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