アメリカで自動車事故に巻き込まれたら
- 2020.11.16
- Life -アメリカ生活 日々のぼやき-
ロサンゼルスのドライバーは、とにかく運転が荒い。ウィンカーも点けずに急に目の前に割り込んでくる車なんてざらにいるし、5車線ほどあるフリーウェイでグネグネと車線変更しながら猛スピードで駆け抜けていく無謀な車もいる。また、ライトが切れていてブレーキを踏んでいるのに赤いランプがつかない迷惑な車もよく見かける。
ロサンゼルスに住み始めてすぐの頃は、こんな野蛮な行動ばかりする車に紛れて運転するのがものすごく怖かった。赤信号から青信号になってゆっくりアクセルを踏んだ瞬間に後ろの車から急かすようにプー!と鳴らされたこともあるし(別に私がもたもたしていたわけではなく、至って普通の発進だったにも関わらず)、感じの悪いドライバーから中指を立てられたこともある。
車道に繰り出すたびにブルブルと震え怯えていた私だが、今ではすっかり慣れて、ロサンゼルスでの運転なんてお手のものだ。
しかし、これほど運転の荒いドライバーが多いロサンゼルスの町では、当然のごとく自動車事故が多発している。毎日のようにどこかで必ず衝突事故が起きているし、運転中に、隣の車線を走っている車同士が衝突した瞬間を目撃することも多々ある。
かくいう私も、ロサンゼルスで自動車事故に巻き込まれたうちの一人だ。
仕事帰りに車を運転していたところ、フリーウェイから一般道に変わる境い目の赤信号で後ろの車に思いっきりぶつけられた。その反動で私の車も前に停止していた車に軽くぶつかった。いわゆる玉突き事故というやつだ。結果からいうと、私の車は廃車になった。ただし幸運なことに、私は無傷で鞭打ちや後遺症などもなかった。
後ろからぶつけられた時は、それまでに受けたことのない初めての衝撃に何事かと思った。人生初めての交通事故、しかもここはアメリカということで、何をどうすればいいのか分からず私はパニックに陥った。
私がぶつけてしまった前方の車の運転手は運よく優しい人で、その人に促されて警察に電話をかけた。通常、軽い事故であれば警察を呼ばず、その場で当事者同士が名前、連絡先、免許証、保険証などの情報交換を行う。大きな事故が起きた場合は公平な判断を仰ぐためにも、警察を呼んで現場の状況を見てもらったほうが安心だ。
20分ほどしたら警察が到着し、前方、私、後方の車の運転手がそれぞれ個別に警察と話をした。免許証や保険証などを提示し、事故状況の証拠写真撮影、事情聴取、ポリスレポートを作成してもらい、私たちは解放された。ちなみに私の車は後部の損傷が激しく、そのまま乗って帰るのは危険だったので、レッカー車で検査場へ引かれて行った。
警察が来た場合も来なかった場合も、事故が起きたらすぐに保険会社へ連絡を入れる。その後、当事者の保険会社同士で事故状況の聞き取りやポリスレポートの確認、車の損傷状態の確認などを行い、損害はどれほどか、どちらの過失かなどを判断する。
ここで、私は重大なミスを犯していたことを後で知る。
私は今回の事故が自分の過失ではないことに自信があったので、警察にはありのままを正直に話した。しかし、どうやら私の車にぶつけてきた後ろの車は、何かと言い訳をして自分の過失ではないことを警察に主張したらしい。さらに彼には同乗者がいたので、現場を目撃した強力な第三者としての証言も取られていたらしい。
結局、私の過失ではないことを十分に証明できず、かつ先方の過失であることも証明できなかったため、愛しのマイカーが被った損傷を先方の保険会社に請求することができなかった。運よく私はフルカバーの保険プランに入っていたので(どちらの過失であっても保険会社がすべてカバーしてくれるプラン)、自腹を切ることはなかった。
とはいえ私の車はリースだったので、保険会社から下りた損害額はリース会社に入り、私は新たな車の入手を自費で賄わなければならなくなった。結局、無駄な出費が発生しているのである。
私の重大なミスとは、事故が起きてすぐに弁護士に連絡をしなかったことだ。たとえ明らかに相手の過失だったとしても、相手も自分が責任を被りたくないためにあることないこと証言する人がアメリカには多い。事故後の処理は少しでも間違えると、本当であれば不要のはずだった大きな損害を負うケースが多いのだ。その損害を避けるためにも、早急に弁護士を立てて対処することが重要となる。
それを知らなかった私は後になって弁護士に相談したが、もう手遅れだった。保険会社に相手の過失であることを証明できないと判断されてから弁護士に相談しても、もはや結果を覆すことはできない。悲しいかな、これが現実である。
もし今後また交通事故に遭った場合は、警察に連絡するよりも何よりも先に弁護士に連絡することを心に固く誓った。
皆さんも後学のためにぜひ念頭に置いておいていただきたい。
交通事故に遭ったら、何よりも先に即座に弁護士に連絡しよう。
旅行雑誌、情報誌のフリー編集者兼ライター・フォトグラファー。人種や文化の違いに興味があり、世界中の国々を旅行しては、その地で見た美しい風景や人々、おもしろいと感じたものを写真に収める。世界遺産検定1級所持。
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