アメリカの七不思議

アメリカの七不思議

国が違えば文化も違う。

アメリカで暮らしていると、日本では見かけない不思議な光景を見ることがよくある。それらは、このアメリカという国ではいたって当たり前の風景なのだ。しかし、日本から来てすぐの頃はどうしても見慣れず、なんでこうなの?なんでああなの?と、私の頭の中は「なんでなんで」の洪水のようになっていた。

私はこれらの奇妙な光景をまとめて「アメリカの七不思議」と呼ぶことにした。

 


まず一つ目は、雨降ると車汚れる説。普通なら、雨が降れば汚れを洗い流してくれるから車はきれいになると思うだろう。しかしそうではない。雨が降った翌日に車を見ると、必ず前日より汚くなっている。

そもそもロサンゼルスは空気が相当汚いらしく、驚くほどの速さで車が汚れていく。日本の実家では車を屋根のない場所に常に停めていたが、洗車は2週間〜1カ月に1回程度で良かったし、車が汚れることはそうそうなかった。しかし、ロサンゼルスで車を外に停めておくと一夜で汚れる。どれだけピッカピカに車を磨いても、翌日にはもう埃やらチリやらで汚れまくっている。

二つ目は、カーテンがダサい説。正確にいうと、カーテンではなくブラインド。内装に気を使っている家ならカーテンをつけるが、そうでなければ基本的に備え付けのブラインドを使っている家が多い。これがとことんダサい。白く細長いプラスチック製のペラペラしたものが何枚も並んでカーテンレールに取り付けられており、その向きを変えることで遮光したり光を入れたりと調整できる。実際に見たことがない人はいまいち想像がつかないかもしれない。アメリカに来た時にはぜひ見て欲しい。

これがどうにも扱いづらいのである。いたって簡素でデザイン製は一切なく、かといって機能性もない。ペラペラの重なりなので、どうしても隙間ができてしまい100%遮光することはできない。布でできたカーテンのようにふわりと風になびくことはなく、板と板がぶつかり合ってパラパラパラ……と乾いた音がするだけ。備え付けなのでおそらくずっと昔から同じものが使われており、相当汚いのではないかと思う。カーテンのように洗うこともできない。

三つ目は、天井に照明器具の電源がない説。日本だったらたとえば一人暮らしで新しい部屋に引っ越した時、基本的に天井には照明器具の電源(ソケットというらしい)があり、あとは電球を取り付けるだけという状況だろう。しかし、アメリカには天井に電源がない。天井には何もなく、ただまっさらな平面があるだけ。天井に照明器具を取り付けたいなら、電源を引くところからすべて自分でセッティングしなければならない。

アメリカ人は、基本的に間接照明を好む傾向にあるようだ。好むというより、彼らは目の色素が薄いから眩しいのが苦手らしい。日本のように蛍光灯が煌々と部屋を照らすような照明は、ほとんどの家庭にはないのだ。極めて暗めな間接照明を好むこの国では、おそらく天井に電源は必要ないのだろう。

 

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四つ目は、車線の構成がおかしい説。これはちょっと難しいだろうという難易度高めの構成になっている車道が多いのと、この車線構成はなんのためにあるのかと思う場面が多々ある。なんとなく感じているのだが、日本の車線は走行する側の立場に立って走りやすく作られているのに対し、アメリカの車線はあくまで作る側が思いつきで作った感がある。だから車線の構成に無駄が多いのではないか。

五つ目は、ピックアップトラックが多い説。ピックアップトラックとは、個人が乗る小型トラックのようなものだ。日本でお目にかかる機会はほとんどないが、アメリカでは1家に1台あるのではないかと思うくらいしょっちゅう見かける。これは知人から聞いた話なのだが、アメリカ人はこのピックアップトラックを持つことに憧れを抱いているようだ。確かに大きい荷物や大量の物を運ぶ際には便利だが、普段の通勤などでも乗りこなしているところを見るとあながち間違いではなさそうである。

六つ目は、バスの停車ボタンがヘン説。アメリカのバスの停車ボタンは、私が知る限り3種類ある。一つは日本と同じ、ボタンをポチッと押すタイプ。もう一つはバス内部の壁に張り巡らされた紐を引っ張るタイプ。そして最後がバスの壁に設置されている縦長の黄色い分厚いテープのようなものを押して知らせるタイプだ。紐タイプとテープタイプはその構造が謎である。そして決して悪いわけではないが、デザイン性に時代遅れ感を拭えない。

最後となる七つ目は、観覧車が異常に速い説。これはぜひ直接見ていただきたい。アメリカの観覧車は驚くべき速さで回る。日本の観覧車はゆっくり1周回って降りるのが普通だが、アメリカは違う。正確な速さは分からないが、回るのが速いので1回の乗車につき4、5周回るのが普通のようだ。そして、カゴがよく揺れる。アメリカでは、観覧車はロマンチックさのかけらもない乗り物なのである。

アメリカ在住の日本人の皆さんには、共感してもらえたら嬉しい。