世界一の巨木が林立するレッドウッド国立・州立公園でヒーリング
- 2019.11.01
- カリフォルニア/California
カリフォルニア州の北部、オレゴン州との境目に近い海岸線には、広大な森林が広がっている。その規模は、東京都と同じくらい。ここレッドウッド国立・州立公園は、世界一背の高い樹木・レッドウッド(学名:セコイアメスギ)の木々に覆われた公園群だ。このエリアには約2000万年も前からレッドウッドが自生しており、現在まで変わることなくその姿を保ってきた。
ありのままの自然を保護するこの国立・州立公園に一歩足を踏み入れれば、悠久の時の流れを肌で感じられ、その偉大さに誰もが心を癒される。そんなレッドウッド国立・州立公園の魅力や訪れるべきポイントを紹介する。
レッドウッドが自生するのは
北アメリカだけ
かつては世界各地で見られたレッドウッドだが、気候変動や造山活動により徐々に数が減少。今では北アメリカ西海岸の一部の地域にしか自生していない。適した標高、気候などの条件が揃わないと、しっかりと育たないのだ。その貴重な樹木の原生林が気軽に見られるのは、世界でもこのレッドウッド国立・州立公園だけ!
レッドウッドの樹高は、成木で60〜100メートル。分かりやすくいうと、20〜35階建てのタワーマンションと同じくらいの高さになる。屋久島の縄文杉が約25メートルなので、その2〜4倍と考えると途方もない大きさだ。
現在確認されているものでは、「ハイペリオン」と名付けられたレッドウッドが樹高115.5メートルで世界一の高さ。ただし、ハイペリオンがどこに立っているのかは、保護のため公開されていない。レッドウッドの平均寿命は500〜700年、長いものだと2000年ほどにもなるのだそうだ。
ここは太平洋の海岸線に面した立地から、多様な生物の宝庫ともなっている。園内を歩けばルーズベルト・エルクと呼ばれる大きなシカをはじめ、ブラックベアやアメリカンビーバーなど、さまざまな動物と出くわすチャンスがあるだろう。また、海岸線では季節によってコククジラやザトウクジラ、アシカなどを見ることができる。この生物多様性が高く評価され、世界自然遺産にも登録されている。
古代樹の森で森林浴
レッドウッド国立・州立公園の魅力は巨木のみならず、草が生い茂る草原や小川、神秘的な渓谷などさまざま。また、『スターウォーズ:エピソード6』『ジュラシックパーク2』など、数々の映画がこの公園内で撮影されてきた。巨木のパワーを感じて癒されたり、ロケ地をめぐったり、ワクワクするような冒険を楽しんだり。各々好きなように時間を過ごして、癒しのエネルギーをもらおう。
トールツリーズ・トレイル(Tall Trees Trail)
巨大な木々に囲まれる感覚を肌で実感したいなら、トールツリーズ・トレイルがおすすめ。入場が制限されているエリアなので、まずは公園南側の入口にあるキークル・ビジターセンターで許可書をもらってから出発しよう。
トレイルの起点から30分ほど森の中を下った先には、巨木が立ち並ぶビッグツリー・グローブがある。そのサイズ感は非現実的で、歩いているとまるで巨人に囲まれ見下ろされているような不思議な感覚に。このエリアのどこかにひっそりと佇むという世界一高い木・ハイペリオンが、うまくいけば見つかるかも。
ニュートン・B・ドルリー・シニックピークウェイ(Newton B. Drury Scenic Pkwy)
公園のなかほど、プレイリークリーク・ビジターセンターのすぐ近くにあるこの道は、レッドウッドの原生林の間を南北に約16キロ走る舗装道路。両側にはレッドウッドの巨木が林立しており、雄大な景色を楽しみながらドライブができる人気スポットだ。ゆっくりと景色を楽しみたいなら、サイクリングやウォーキング、セグウェイなどでのんびりと散策するのもおすすめ。
クラマスリバー展望所(Klamath River Overlook)
ニュートン・B・ドルリー・シニックピークウェイからさらに北上すると、クラマスリバー展望所がある。ここには大きな入江があり、12月から4月にかけてはコククジラが見られるチャンス。美しい海岸線でサンセットを見れば、ロマンチックな時間を過ごせるはず。
ファーン・キャニオン(Fern Canyon)
レッドウッドの原生林とはひと味違った神秘的な空間を楽しめるのが、このエリア。川の浸食によってできた細い渓谷は両側の壁がシダに覆われており、そのユニークで幻想的な様子は隠れた楽園のよう。生い茂る数種類のシダのなかには、3億年ほど前から続く品種もあるらしい。
小川を横切ったり、横倒しになった老木を乗り越えたりと、アスレチックのような渓谷を奥へ奥へと進むにつれて、シダの壁はより高く、より神秘的な雰囲気に包まれていく。目を凝らせば、葉陰に隠れたサンショウウオや珍しい品種のカエルを見ることができるかも!
ちなみにここは『ジュラシックパーク2』のロケ地にもなった場所。
訪れる際は雨具と滑りにくい靴が必須
あたりは年間を通して降水量が多く、ハイキングする時は湿った岩の上を歩くこともあるため、雨具と滑りにくい靴は必須。おでかけの前に天気をチェックするといいだろう。
巨木の原生林と神秘的な渓谷、そして海と陸の生物たちの宝庫。レッドウッド国立・州立公園は、訪れた人たちの心と体を癒す不思議なパワーに包まれている。日常の喧騒から抜け出して、週末の旅の目的地にいかが?
US-101を車でひたすら南下し、6時間ほどでクレセントシティ・インフォメーションセンター。
旅行雑誌、情報誌のフリー編集者兼ライター・フォトグラファー。人種や文化の違いに興味があり、世界中の国々を旅行しては、その地で見た美しい風景や人々、おもしろいと感じたものを写真に収める。世界遺産検定1級所持。
-
前の記事
危機一髪、アメリカの詐欺電話こわい 2019.10.15
-
次の記事
ペルーの首都リマで訪れるべき観光スポット 2019.11.10